【2027年4月厳罰化】飲食店の不法就労助長罪|技人国のホール・調理配置、留学生の週28時間超えの摘発事例と店舗が今やるべき対策

飲食店の不法就労助長罪 2027年4月から厳罰化|技人国のホール・調理配置、留学生の週28時間超えの摘発事例と店舗の対策 ➤企業様必見-各業界の外国人雇用の情報

「ホール担当は『技術・人文知識・国際業務』で採用した社員だから大丈夫」「留学生のシフトは本人の希望どおり」「特定技能が止まったから、とりあえず技人国で採って店に入ってもらおう」――飲食店の現場で、こうした判断をしていませんか。

2027年(令和9年)4月1日から、外国人に不法就労をさせた事業者を罰する不法就労助長罪の罰則が大幅に引き上げられます。飲食店は留学生アルバイトや外国人社員に支えられている業界である一方、ホール・キッチンの現場業務と在留資格のルールがぶつかりやすく、実際に経営者の逮捕が相次いでいます。さらに2026年4月からは特定技能「外食業」の新規受入れが原則停止され、採用ルートの選び方を誤るリスクが高まっています。

この記事では、飲食店で実際に問題となった事例をもとに、何が不法就労とされるのか、2027年4月から何が変わるのか、そして店舗・本部が今すぐ整えるべき確認体制を、出入国在留管理庁(入管庁)などの公表資料に沿って解説します。

この記事のポイント

  • 在留資格「技術・人文知識・国際業務」(以下「技人国」)では、店舗での接客・配膳・調理・レジ・洗い場の仕事はできません。肩書きが「店長候補」「通訳」でも、実態が現場業務なら不法就労です。
  • 留学生・家族滞在の方のアルバイトは他店との掛け持ちを含めて原則週28時間以内。超えれば、雇った店も処罰の対象になります。
  • 特定技能「外食業」は2026年4月13日から新規受入れが原則停止されています。その穴を技人国で埋める運用は特に危険です。
  • 2027年4月1日から罰則は「5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金(併科あり)」に。「知らなかった」は通用せず、在留カードの確認を怠るなどの過失があれば処罰を免れません。

なぜ今、飲食店の外国人雇用が厳しく見られているのか

2026年に入り、外国人の受入れに関する国の方針は「秩序」と「適正化」を強く打ち出しています。外食業に関係する主な動きは次のとおりです。

時期主な動き飲食店への影響
2026年1月関係閣僚会議で「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を決定。特定技能・育成就労の分野別運用方針も閣議決定。在留資格の審査が厳正化。外食業の特定技能1号の受入れ見込数(上限)は5万人
2026年3月27日入管庁・農林水産省が、外食業の特定技能1号の在留者数が2月末で約4万6千人となり、5月頃に上限を超える見込みと公表。特定技能による新規採用が困難に
2026年4月13日特定技能1号(外食業)の在留資格認定証明書交付申請を不交付、在留資格変更許可申請も原則不許可とする運用を開始。海外からの呼び寄せ・留学生からの切替えルートが事実上閉じる
2026年4月入管庁が技人国のガイドラインを改定。翻訳・通訳や接客など、主に言語能力を使う対人業務にはCEFR・B2相当(日本語ならJLPT N2以上など)の言語能力が前提に。「通訳」「インバウンド対応」名目での採用は、言語能力と業務量の立証が必要
2026年5月「不法滞在者ゼロプラン~強力推進パッケージ~」を公表。不法就労助長者の摘発強化やSNSのサイバーパトロールを新たに掲げる。求人・紹介の経路も監視の対象に
2026年7月新たな「出入国在留管理基本計画」で、技人国の外国人が専門性を要しない現場業務に従事している事案を「対応が必要な不適切な事案」と明記。「技人国で採用・実態はホールやキッチン」は是正・調査の対象として明確化
2027年4月1日改正入管法の施行により不法就労助長罪の罰則を引上げ。外食業分野の育成就労も運用開始予定。不法就労が発覚した場合の刑事・行政上のダメージが格段に大きくなる

特定技能の受入れが止まっても、店舗の人手不足が解消されるわけではありません。だからこそ、「技人国で採用して現場に入れる」「留学生のシフトを増やして穴を埋める」という、これまで以上に危うい運用に流れやすい状況にあります。しかし、「他の店も同じようにやっているから」という理由は通用しない段階に来ています。

飲食店で問題となった3つの事例

ここでは報道をもとに、飲食店で実際に問題となった事例を紹介します(店舗名・個人名は伏せています)。

事例① 東京・台東区の中華料理店 ― 技人国の従業員をホールスタッフに(2026年2月)
概要
中華料理店を経営する中国籍の男が、入管法違反(不法就労助長)の疑いで逮捕。
何をしたか
技人国の在留資格を持つ中国籍の従業員を、資格外活動の許可がないまま、2025年10月上旬から11月下旬にかけてホールスタッフとして働かせた疑い。従業員本人も不法就労の疑いで逮捕されています。
経営者の説明
従業員の在留資格が技人国であることは分かっていたが、法律違反にあたるとは思っていなかった、という趣旨の説明をして容疑を一部否認していると報じられています。

教訓:在留資格の「名前」を確認しただけでは不十分です。その在留資格で何の仕事ができるのかまで確認しなければ、在留カードを見ていても不法就労は防げません。「違法とは思わなかった」は、むしろ確認を怠った証拠になりかねません。

事例② 約35店舗を展開する飲食チェーン ― 技人国の外国人を調理担当に(2023年11月)
概要
東京・恵比寿を中心に居酒屋などを展開する飲食チェーンの社長と、採用担当の元社員ら3人が不法就労助長の疑いで逮捕。法人としての会社も書類送検。
何をしたか
技人国の在留資格を持つスリランカ国籍の男性を、在留資格で認められていない調理などの現場業務に従事させた疑い。
ポイント
社長は「現場に任せていたので詳しく分からない」という趣旨の説明をして否認していると報じられました。それでも、社長・採用担当・法人がそろって刑事責任を問われています。

教訓:多店舗展開の企業では、採用後の配置を店舗任せにしがちです。しかし処罰の対象は店長だけでなく、社長や採用担当、そして会社そのものにまで及びます。本部として配置を確認する仕組みが欠かせません。

事例③ 埼玉・川口市のベトナム料理店 ― 留学・家族滞在のアルバイトが週28時間超(2026年8月)
概要
埼玉県警が、ベトナム料理店を運営する会社の役員の男を不法就労助長の疑いで再逮捕。
何をしたか
「家族滞在」や「留学」の在留資格で、週28時間以内に限って働くことを許可されていたベトナム国籍のアルバイト3人を、2026年3月から6月にかけて許可された時間を超えて働かせた疑い。
背景
在留資格の範囲を超えて働かされているという情報提供から捜査が始まり、従業員のうち2人も資格外活動の疑いで逮捕されました。従業員は生活費を稼ぐために働いていたと説明していると報じられています。

教訓:「本人がもっと働きたいと言ったから」は理由になりません。時間超過の責任は雇う側にも問われます。また、外部からの情報提供で発覚するケースが多いことにも注意が必要です。

このほかにも、ラーメン店チェーンの経営者が留学生を週50時間以上働かせたとして逮捕・略式起訴された例(2022年)や、横浜中華街の有名店で技人国の従業員に接客やレジ打ちをさせたとして経営者が逮捕された例(2020年)が報じられています。いずれの事例にも共通しているのは、人手不足の中で「とにかく店を回す」ことが優先されたことです。

飲食店の業務と在留資格の関係

同じ「外国人スタッフ」でも、在留資格によって任せられる仕事は大きく異なります。主な在留資格を整理すると次のとおりです。

在留資格ホール
(接客・配膳・レジ)
キッチン
(調理・仕込み・洗い場)
主な注意点
技術・人文知識・国際業務××本部での企画・マーケティング、海外取引、翻訳・通訳など専門性のある業務に限られる。店舗の現場業務は不可
技能(調理師)×○(外国料理)外国料理の熟練調理人向け。原則として10年以上の実務経験が必要。接客は不可
特定技能(外食業)○○調理・接客・店舗管理が可能。ただし1号は2026年4月13日から新規受入れが原則停止。接待を伴う風俗営業の店では働けない
留学・家族滞在
(資格外活動許可あり)
○○原則週28時間以内(掛け持ち合算)。留学生は学校の長期休業期間中のみ1日8時間以内まで可。風俗営業の店は不可
永住者・定住者・日本人の配偶者等など○○就労制限なし(在留期限は要確認)

「研修」名目の現場配置に注意:入管庁の技人国のガイドラインでは、採用当初の実務研修として一部現場業務を行うことは認められ得るとされています。ただし、日本人の同期社員も同じ研修を受けているか、研修期間が合理的かといった点が見られます。終わりの見えない「研修」として毎日ホールやキッチンに入り続ける状態は、研修とは言えません。

不法就労の3つの類型 ― 飲食店での具体例

入管庁は、不法就労を次の3つのケースに分類しています。

類型内容飲食店での例
①不法滞在者や退去強制が決まっている人が働く在留期限が切れた人を、知人の紹介でキッチン補助として雇う
②就労できる在留資格がなく、許可も受けずに働く資格外活動許可のない留学生・家族滞在の人を雇う/観光(短期滞在)で来日した親族や知人に店を手伝わせる
③在留資格で認められた範囲を超えて働く技人国の社員をホール・キッチンに配置する(事例①②)/留学生・家族滞在の人を週28時間超で働かせる(事例③)/技能(調理師)の人に接客をさせる

留学生の「週28時間」は、すべての勤務先の合計で、残業も含め、どの曜日から数えても連続する7日間で28時間以内である必要があります。自店のシフトが28時間以内でも、他店と合わせて超えれば不法就労です。また、③の類型は在留カードを見ただけでは分かりません。その人が店で実際に何をしているかを確認して初めて判断できます。

罪の構造 ― 誰が、どこまで責任を問われるのか

1. 処罰の対象は「経営者」に限られない

不法就労助長罪(入管法第73条の2)は、事業活動に関し外国人に不法就労活動をさせた者のほか、不法就労活動をさせるために外国人を自己の支配下に置いた者や、あっせんした者も処罰の対象としています。飲食店では、店長・エリアマネージャー・採用担当者など、実際にシフトを組んだり採用を決めたりした人が責任を問われ得ます。事例②のように、社長と採用担当が同時に逮捕されることもあります。

2. 「知らなかった」では処罰を免れない

同条第2項は、外国人の在留資格や就労できる範囲を知らなかったことを理由に処罰を免れることはできないと定めています。例外は過失がない場合だけです。入管庁も、在留カードを確認していないなどの過失がある場合は処罰を免れないと明示しています。

在留カードを確認していない、留学生の掛け持ち状況を聞いていない、技人国の社員が店で何をしているか把握していない――こうした状態は過失ありと見られる可能性が高く、「知らなかった」はむしろ確認を怠った証拠になりかねません。

3. 両罰規定で「会社」も罰せられる

入管法第76条の2の両罰規定により、違反行為をした店長や担当者だけでなく、店舗を運営する法人にも罰金刑が科されます。

2027年4月1日から何が変わるのか

2024年に成立した改正入管法により、2027年(令和9年)4月1日から不法就労助長罪の法定刑が引き上げられます。

項目現行(2027年3月まで)改正後(2027年4月1日〜)
拘禁刑3年以下5年以下
罰金300万円以下500万円以下
併科ありあり

影響は刑の重さだけではありません。飲食店にとって本当に重いのは、処罰を受けた後に外国人材の採用ルートが止まることです。

罰金刑でも生じる主な「その後」の影響

  • 特定技能(外食業):入管法違反で罰金刑に処せられ、執行終了等から5年を経過しない者は、特定技能所属機関になれません(欠格事由)。受入れ停止が解除されても、自社だけは採用できない状態が続きます。
  • 育成就労:2027年4月から外食業分野でも運用開始予定ですが、計画の認定についても同様の欠格事由が設けられています。
  • 技人国:2026年4月改定のガイドラインにより、特定技能・技能実習で受入れ停止となっている期間は、原則として技人国の新規受入れも認められません。本部の企画職や海外事業の採用にも影響します。
  • 今後の動き:入管庁は、不法就労助長罪の処分歴を各業種の許認可の欠格事由に加えるよう関係省庁に提案する方針を示しています。

つまり、一度不法就労助長罪に問われると、ホール・キッチンから本部まで、外国人材を採用するルートが一定期間ふさがれてしまうのです。罰金を払えば終わり、ではありません。

飲食店が今すぐやるべき3つのこと

① 採用時と更新時に、在留カードを「原本で」確認する

アルバイトも社員も、採用時と在留期間の更新時に、在留カードの原本で次の項目を確認してください。

  • 在留資格(何の活動が認められているか)
  • 在留期限(期限切れになっていないか)
  • 就労制限の有無(表面の「就労制限の有無」欄)
  • 資格外活動許可の有無(従来の在留カードは裏面、2026年6月14日以降に発行された「特定在留カード」は表面に記載)
  • 入管庁の「在留カード等読取アプリケーション」と「失効情報照会」で偽変造・失効の有無をチェック

② 「在留資格」と「実際の担当業務」を照合する

特に技人国・技能の社員については、次の視点で確認します。

  • 技人国の社員が、店舗のシフト表(ホール・キッチン)に組み込まれていないか
  • 本部業務(企画・マーケティング・海外取引・翻訳通訳など)に、1日の大半を使えるだけの業務量があるか
  • 「研修」名目の現場勤務が長期化していないか(日本人社員も同じ研修を受けているか)
  • 通訳要員なら、その言語を話すお客様が実際にいて、業務量があるか。CEFR・B2相当の言語能力を立証できるか
  • 技能(調理師)の社員に、ホールやレジを任せていないか
  • 同じ業務の日本人社員と比べて、報酬が同等以上か

③ 留学生・家族滞在アルバイトの「週28時間」を仕組みで管理する

本人の自己申告だけに頼らず、店として管理できる仕組みを作りましょう。

  • 採用時に、掛け持ち先の有無・勤務時間を書面で申告してもらい、変更があれば報告してもらう
  • 勤怠記録を、月曜〜日曜の固定ではなく「どの7日間でも28時間以内」になっているか確認する
  • 長期休業期間中の1日8時間は、学校の休業期間を確認できる資料をもとに適用する
  • 退学・除籍などで学校に在籍していない留学生がいないか、在籍状況も確認する
  • 店長・シフト担当者に、不法就労助長罪のリスクと社内ルールを周知し、確認の記録を残す

よくあるご質問

技人国で採用した社員に、ランチのピーク時だけホールを手伝ってもらうのもダメですか?
突発的・一時的な対応と、シフトに組み込まれた日常的な現場業務は区別して考える必要があります。毎日のピーク時に決まってホールに入る運用は「一時的」とは言えず、資格外の活動にあたるおそれがあります。現場業務を任せたい場合は、その業務が認められる在留資格の人材で体制を組むことを検討してください。
特定技能(外食業)が止まっているので、技人国で「店長候補」として採用し、店に入ってもらうのは問題ありますか?
判断の分かれ目は肩書きではなく、実際の業務内容です。複数店舗の運営管理やマーケティングなど専門性のある業務が中心であることを説明できず、実態が接客や調理であれば、不許可や不法就労のリスクが高くなります。2026年7月の基本計画でも、技人国の外国人が現場業務に従事している事案は「対応が必要な不適切な事案」とされています。
留学生が「他の店では働いていない」と言っていたのに、実は掛け持ちしていました。店も責任を問われますか?
過失があったかどうかが問題になります。採用時の書面での申告、定期的な確認、勤怠記録などで、店として確認を尽くしていたことを示せるかが重要です。何も確認していなかった場合は、過失ありと判断される可能性が高くなります。
スナックやバーで留学生をアルバイトとして雇えますか?
留学生・家族滞在の方の資格外活動許可は、風俗営業が営まれている営業所での活動を除外しています。接待を伴う店(風営法の許可が必要な店)では、皿洗いや清掃など接待をしない仕事であっても働くことはできません。

まとめ

飲食店における不法就労助長罪のリスクは、「不法滞在者を雇わない」だけでは防げません。技人国・技能の社員が店で実際に何をしているかを確認すること、そして留学生・家族滞在のアルバイトの労働時間を掛け持ちも含めて管理することが欠かせません。特定技能(外食業)の新規受入れが止まっている今こそ、無理な配置で人手不足を埋めようとしていないか、点検が必要です。

2027年4月の厳罰化まで、残された時間は多くありません。配置の見直しや在留資格の変更には一定の時間がかかります。今のうちから確認体制を整えておきましょう。

ホール・キッチン・本部の外国人スタッフ、在留資格は合っていますか?

当事務所では、技人国をはじめとする外国人社員の在留資格該当性チェック(1名から)や、配置の見直し・在留資格変更のご相談を承っています。中国語での対応も可能です。

在留資格該当性チェックの詳細 企業様専用 ご相談フォーム

※本記事は2026年11月時点の法令・公表資料および報道に基づいて作成しています。個別の事案の判断は状況により異なりますので、具体的なケースについては専門家にご相談ください。摘発事例は報道に基づくもので、被疑事実の段階のものを含みます。

参考資料