【2027年4月厳罰化】リサイクル業・スクラップヤードの不法就労助長罪|金属買取大手の社長逮捕など摘発事例と企業が今やるべき対策

リサイクル業・スクラップヤードの不法就労助長罪 2027年4月から厳罰化|金属買取大手の社長逮捕などの摘発事例と企業の対策 ➤リサイクル業

「技人国の社員だけど、ヤードが忙しいから選別作業も手伝ってもらっている」「現場は外国人の責任者に任せていて、誰が働いているか把握していない」「知人の紹介で来た人に、当日払いで分別作業をしてもらっている」――金属スクラップ・不用品回収・リサイクルの現場で、こうした運用に心当たりはありませんか。

2027年(令和9年)4月1日から、外国人に不法就労をさせた事業者を罰する不法就労助長罪の罰則が大幅に引き上げられます。リサイクル業は外国人材や外国籍の経営者が多い業界である一方、選別・解体・積込みといった現場作業と在留資格のルールがぶつかりやすく、2025年には金属買取大手の社長が逮捕される事件も起きました。さらに、スクラップヤードには国の新たな許可制度が導入されることが決まり、入管庁による合同立ち入りも検討されています。

この記事では、リサイクル業で実際に問題となった事例をもとに、何が不法就労とされるのか、2027年4月から何が変わるのか、そして企業が今すぐ整えるべき確認体制を、出入国在留管理庁(入管庁)などの公表資料に沿って解説します。

この記事のポイント

  • 在留資格「技術・人文知識・国際業務」(以下「技人国」)で働けるのは営業・貿易実務・通訳・経理など。選別・解体・積込み・重機作業などの現場作業は対象外です。
  • 特定技能・技能実習の人も、認められた業務以外(例:工場長として買取業務を担当する)をさせれば不法就労になります。
  • スクラップヤードは2026年6月公布の改正廃棄物処理法で許可制に。入管庁は環境省・自治体と連携したヤードへの合同立ち入りも検討しています。
  • 2027年4月1日から罰則は「5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金(併科あり)」に。在留カードの確認を怠るなどの過失があれば「知らなかった」では済みません。

なぜ今、リサイクル業の外国人雇用が厳しく見られているのか

屋外で金属やプラスチックを保管・選別するいわゆる「スクラップヤード」は、騒音や火災、盗難品の流通などが社会問題となってきました。こうした中で、環境規制と入管行政の両面から、リサイクル業への視線が厳しくなっています。

時期主な動きリサイクル業への影響
2024年4月千葉県が「特定再生資源屋外保管業の規制に関する条例」(金属スクラップヤード等規制条例)を施行。既存事業者にも許可の取得を義務付け。自治体によるヤードの許可制・立入りが広がる(埼玉県・茨城県なども独自条例を整備)
2026年1月特定技能・育成就労の分野別運用方針が閣議決定され、新たに「資源循環」分野などが追加。現場作業を担う人材の正規の受入れルートが整備される方向に
2026年5月「不法滞在者ゼロプラン~強力推進パッケージ~」を公表。不法就労助長者の摘発強化に加え、不法就労助長罪を各業法の欠格事由に加えることを関係省庁に提案する方針。本業の許認可にまで影響が及ぶおそれ
2026年6月改正廃棄物処理法(令和8年法律第43号)が公布。使用済みの金属・プラスチック物品の保管・再生を行う事業を都道府県知事等の許可制に(公布から2年6か月以内に施行)。スクラップヤードが国の許可制度の対象に。基準遵守・帳簿作成、立入検査や許可取消しも
2026年9月入管庁が、ヤードについて環境省や規制条例を持つ自治体との合同立ち入りを検討していると報道。環境部局の立入りに入国警備官が同行し、在留カードを確認する可能性
2027年4月1日改正入管法の施行により不法就労助長罪の罰則を引上げ。不法就労が発覚した場合の刑事・行政上のダメージが格段に大きくなる

ヤードは高い塀に囲まれ、外から作業の実態が見えにくい場所です。だからこそ、行政は「中で誰が、どの在留資格で働いているか」に焦点を当て始めています。「外から見えないから大丈夫」という時代ではありません。

リサイクル業で問題となった3つの事例

ここでは報道をもとに、リサイクル業で実際に問題となった事例を紹介します(企業名・個人名は伏せています)。

事例① 金属買取大手 ― 特定技能・技能実習の社員に工場長・買取業務(2025年11月)
概要
神奈川県警が、千葉県に本社を置く金属買取・リサイクル大手の社長(中国籍)を不法就労助長の疑いで逮捕。法人としての会社も書類送検する方針と報じられました。
何をしたか
2023年4月から2025年7月にかけ、相模原市内の工場で、特定技能1号の在留資格を持つ中国籍の社員を、資格外活動の許可がないまま工場長として金属くずの買取業務に従事させた疑い。その後、技能実習の在留資格を持つ別の社員にも買取業務をさせたとして再逮捕されています。
背景
工場長らは、盗品と知りながら電線ケーブルを買い取った疑いでも逮捕・起訴されていました。県警は、同社が中国から呼び寄せた100人以上の従業員に資格外の活動をさせていた可能性もあるとみて調べていると報じられています。

教訓:特定技能や技能実習は、決められた分野・業務の中でしか働けない在留資格です。「信頼できるベテランだから」と工場の責任者や買取窓口を任せれば、それ自体が不法就労になり得ます。売上規模の大きい企業でも、社長個人が逮捕されています。

事例② 京都市の金属リサイクル会社 ― 技人国の中国人を分別作業員に(2025年3月)
概要
京都府警が、京都市の金属リサイクル会社の役員とその夫を不法就労助長の疑いで逮捕。
何をしたか
専門職向けの在留資格である技人国などで入国した中国人男性3人を、資格外活動の許可を得ないまま、2024年1月から2025年1月にかけて工場の分別作業員として働かせた疑い。
ポイント
技人国は、大学等で学んだ知識や専門性を必要とする業務に従事するための在留資格です。金属くずの分別作業はこれにあたりません。

教訓:「技人国=働けるビザ」ではありません。技人国で呼び寄せて現場作業をさせる運用は、入管庁が2026年7月の基本計画で「対応が必要な不適切な事案」と明記した典型例です。

事例③ 埼玉・所沢市の不用品分別作業場 ― 資格外活動許可のないベトナム人5人(2026年10月)
概要
埼玉県警が、作業場を共同で経営するリサイクル業の男2人を不法就労助長の疑いで逮捕。
何をしたか
2026年3月頃から5月にかけて、資格外活動の許可を受けていない20代〜50代のベトナム人男女5人を、回収した不用品を仕分け・分別する作業員として働かせた疑い。知人の紹介で集め、時給1,200円程度を当日払いしていたとみられています。
発覚の経緯
2026年2月、別の捜査で不法残留の疑いのあるベトナム人13人が逮捕され、そのうち6人がこの作業場で働いていたことが判明。5月の捜索で、さらに5人が資格外で働いていたことが確認されました。

教訓:小規模な作業場でも、働いていた外国人の摘発から雇い主にたどり着くのが典型的な流れです。「知人の紹介」「当日払い」は確認を省略しがちな働き方であり、過失を問われやすい典型的なパターンです。

いずれの事例にも共通しているのは、現場の人手を優先し、在留資格と業務内容の照合が後回しにされたことです。

リサイクル業の業務と在留資格の関係

業務技人国特定技能・技能実習など永住者・定住者など
営業・仕入れ交渉・海外輸出の貿易実務○在留資格ごとに判断○
通訳・翻訳(外国人スタッフや海外取引先とのやり取り)○
(業務量・言語能力の立証が必要)
在留資格ごとに判断○
経理・総務などの事務○在留資格ごとに判断○
選別・分別・解体・積込み・重機作業×認められた分野・業務の範囲内のみ○
工場長・ヤードの責任者・買取窓口実態次第原則×(事例①)○

特定技能「資源循環」分野について:2026年1月の閣議決定で、特定技能・育成就労の対象に「資源循環」分野が追加されました。育成就労の業務区分としては「廃棄物処分業(中間処理)」が示されています。ただし、受入れの開始時期や、どの事業者・どの作業が対象になるかは分野別運用方針・運用要領で定められます。金属スクラップの買取や有価物の選別が対象に含まれるかは個別の確認が必要で、「分野ができたから現場で使える」と早合点するのは禁物です。

不法就労の3つの類型 ― リサイクル業での具体例

入管庁は、不法就労を次の3つのケースに分類しています。

類型内容リサイクル業での例
①不法滞在者や退去強制が決まっている人が働く在留期限が切れた人を、知人の紹介で選別作業員として雇う
②就労できる在留資格がなく、許可も受けずに働く資格外活動許可のない人を当日払いで分別作業に使う(事例③)/短期滞在で来日した人にヤードを手伝わせる
③在留資格で認められた範囲を超えて働く技人国の社員を分別・解体作業に回す(事例②)/特定技能・技能実習の社員に工場長や買取業務をさせる(事例①)/留学生を週28時間を超えて働かせる

③のケースは在留カードを見ただけでは分かりません。その人がヤードや工場で実際に何をしているかを確認して初めて判断できます。経営者自身が外国籍で、同じ国の出身者を現場に呼び寄せているケースでは、日本の在留資格のルールが十分に共有されていないことも少なくありません。

罪の構造 ― 誰が、どこまで責任を問われるのか

1. 処罰の対象は「雇用主」に限られない

不法就労助長罪(入管法第73条の2)は、事業活動に関し外国人に不法就労活動をさせた者のほか、不法就労活動をさせるために外国人を自己の支配下に置いた者や、あっせんした者も処罰の対象としています。ヤードの責任者や、作業員を集めてくる紹介役も対象になり得ます。

2. 「知らなかった」では処罰を免れない

同条第2項は、外国人の在留資格や就労できる範囲を知らなかったことを理由に処罰を免れることはできないと定めています。例外は過失がない場合だけです。在留カードを確認していない、現場の責任者に採用を任せきりにしている、といった状態は過失ありと見られる可能性が高く、「知らなかった」はむしろ確認を怠った証拠になりかねません。

3. 両罰規定で「会社」も罰せられる

入管法第76条の2の両罰規定により、違反行為をした役員・責任者だけでなく、会社そのものにも罰金刑が科されます。

外国籍の経営者の方へ:経営者ご自身が外国籍の場合、不法就労助長罪で処罰されると、ご自身の在留資格の更新や永住許可の審査にも重大な影響が及びます。会社だけの問題ではないことにご注意ください。

2027年4月1日から何が変わるのか

2024年に成立した改正入管法により、2027年(令和9年)4月1日から不法就労助長罪の法定刑が引き上げられます。

項目現行(2027年3月まで)改正後(2027年4月1日〜)
拘禁刑3年以下5年以下
罰金300万円以下500万円以下
併科ありあり

罰金刑でも生じる主な「その後」の影響

  • 特定技能・育成就労:入管法違反で罰金刑に処せられ、執行終了等から5年を経過しない者は、特定技能所属機関になれず、育成就労の計画認定も受けられません。新設される「資源循環」分野の活用もできなくなります。
  • 技人国:2026年4月改定のガイドラインにより、特定技能・技能実習で受入れ停止となっている期間は、原則として技人国の新規受入れも認められません。貿易・通訳スタッフの採用にも影響します。
  • 本業の許可:入管庁は、不法就労助長罪の処分歴を各業種の許認可の欠格事由に加えるよう関係省庁に提案する方針です。新たなスクラップヤード許可制度や自治体条例の運用の中で、どのように扱われるかにも注意が必要です。

つまり、一度不法就労助長罪に問われると、外国人材の採用ルートが止まるだけでなく、ヤードの営業そのものに影響するおそれがあるのです。

リサイクル業者が今すぐやるべき3つのこと

① ヤード・工場で働く全員の在留カードを「原本で」確認する

正社員だけでなく、日雇い・当日払い・紹介で来た人も含めて、働き始める前に在留カードの原本で次の項目を確認してください。

  • 在留資格(何の活動が認められているか)
  • 在留期限(期限切れになっていないか)
  • 就労制限の有無・資格外活動許可の有無(2026年6月14日以降に発行された「特定在留カード」は表面に記載)
  • 入管庁の「在留カード等読取アプリケーション」と「失効情報照会」で偽変造・失効の有無をチェック
  • 作業員名簿を作り、在留資格・在留期限・確認日を記録しておく(行政の立入りの際にも提示できるように)

② 在留資格と「実際の担当業務」を照合する

  • 技人国の社員が、選別・解体・積込みなどの現場作業に入っていないか
  • 特定技能・技能実習の社員に、認められた業務以外(工場長・買取窓口・配車など)を任せていないか
  • 通訳要員として採用した社員に、通訳としての業務量が実際にあるか
  • 同じ業務の日本人社員と比べて、報酬が同等以上か

③ 採用・配置の権限と「止める」ルールを決めておく

ヤードの責任者や外国人の現場リーダーに採用を任せきりにせず、本社が在留資格を確認してから現場に入れる流れを明文化してください。確認が取れない人は、どれほど人手が足りなくても作業させないことを徹底しましょう。

  • 採用・配置の前に、在留資格と業務内容を照合する担当者を決めている
  • 知人の紹介・当日払いでの受入れを禁止している
  • 現場の責任者に、不法就労助長罪のリスクと社内ルールを(必要に応じて母国語で)周知している
  • 確認の結果を記録として残している

よくあるご質問

技人国の通訳スタッフに、手が空いた時間だけ選別作業を手伝ってもらうのはダメですか?
突発的・一時的な対応と、日常的に現場作業に入る運用は区別して考える必要があります。手が空くたびに選別作業に入る状態が続けば、資格外の活動と判断されるおそれがあります。そもそも通訳としての業務量が十分にあるかも、在留資格の審査で問われるポイントです。
特定技能に「資源循環」分野ができたので、すぐにヤードの作業員として受け入れられますか?
受入れの開始時期や、対象となる事業者・業務の範囲は分野別運用方針・運用要領で定められます。育成就労の業務区分としては廃棄物処分業(中間処理)が示されており、金属スクラップの買取や選別がそのまま対象になるとは限りません。自社の事業が対象になるか、事前の確認が必要です。
作業員は協力会社から来てもらっています。当社に責任はありますか?
雇用や指揮命令の実態によって判断が分かれます。派遣として受け入れ、自社が作業の指示をしている場合は、派遣先として処罰の対象になり得ます。請負の場合でも、自社のヤードで不法就労が発覚すれば、捜査や行政の立入り、許可への影響は避けられません。協力会社が在留資格を確認していることを、契約や名簿の提出で担保しておくことをおすすめします。
経営者が外国籍です。不法就労助長罪で罰金刑を受けると、自分の在留資格にも影響しますか?
入管法違反での処罰は、在留期間の更新や永住許可などの審査で重大なマイナス要素となり、場合によっては退去強制の対象となる可能性もあります。会社の問題にとどまらないため、早めに体制を整えることが重要です。

まとめ

リサイクル業における不法就労助長罪のリスクは、「不法滞在者を雇わない」だけでは防げません。ヤードや工場で働く全員の在留資格を確認すること、そして技人国・特定技能・技能実習の社員が実際に何をしているかを実態で確認することが欠かせません。

スクラップヤードの許可制度の導入と、2027年4月の厳罰化が重なり、リサイクル業を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。配置の見直しや在留資格の変更には一定の時間がかかります。今のうちから確認体制を整えておきましょう。

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※本記事は2026年11月時点の法令・公表資料および報道に基づいて作成しています。個別の事案の判断は状況により異なりますので、具体的なケースについては専門家にご相談ください。摘発事例は報道に基づくもので、被疑事実の段階のものを含みます。

参考資料