外国人を雇用する際は、その外国人が保有しているビザ(在留資格)により、従事できる業務が異なることに注意しなければなりません。例えば、専門性の高い業務、単純作業といわれる業務、管理、経営等、外国人が取得すべきビザ(在留資格)は、それぞれ異なります。もし、雇用した外国人のビザでは行うことができない業務を行わせてしまうと、外国人本人はもちろん、雇用した企業側も不法就労助長罪として3年以下の懲役または300万円以下の罰金が課される場合があります(故意に不法就労させてなくとも課されます。)。
宿泊業は現場・接客等の単純作業といわれる仕事が多いため、雇用できる外国人は限られます。「身分系ビザ(日本人や永住者の配偶者、定住者、永住者等)」を持つ外国人や週28時間以内でアルバイトができる「資格外活動」を取得している留学生や家族滞在ビザを持つ外国人は、どのような業務であっても従事することが可能です。
一方、ホワイトカラー業務に従事可能な代表的なビザである「技術・人文知識・国際業務ビザ」を持つの外国人の方は、大学等で学んだ専門分野の技術・知識と関連性のある業務や、外国人特有の感性を必要とする業務に従事することが可能です。単純作業はできません。
また、最近では、単純作業に従事することが可能な「特定技能ビザ」も普及してきてます。
この記事では、宿泊業の業務ごとに、どのビザを保有している外国人が従事可能であるかを紹介していきます。
1.外国人にフロント業務をメインに行わせたい場合
技術・人文知識・国際業務
大学等で学んだ知識や実務経験を活かした業務に従事できるビザです。留学生として日本の大学を卒業した外国人がホワイトカラー業務を行う場合は、このビザを取得する方が多いです。ホテル旅館等のフロント業務について、外国人宿泊客とのやりとりをメインで行う場合、通訳や翻訳業務と言えるので、技術・人文知識・国際業務ビザの保有者が従事することが可能です。ただ、外国語を必要とする接客が少ない、外国人顧客が少ない場合は、このビザを取得することができません。
特定活動46号
2020年2月改定の日本の大卒で高度な日本語能力を有する外国人が取得可能なビザです。外国人がこのビザを取得する上での主な要件は、「日本の4年制大学を卒業or日本の大学院を修了していること」と「日本語能力N1相当以上or日本語専攻」です。外国人宿泊客とのやりとりをメインで行う場合は、このビザの取得が可能です。「技術・人文知識・国際業務」との大きな違いは、フロント業務と兼ねて、客室清掃、レストランの接客などの単純作業にも携わることができることです。気を付けたい点は、単純作業のみで雇用することは不許可で、他の事務やフロント業務などに加えて清掃やレストラン接客などにも就くことができるということです。
身分系ビザ(日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、永住)
身分系ビザとは、日本での活動や就業に制限のないビザです。日本人の配偶者や永住者の配偶者、定住者、永住者等が身分系ビザの保有者です。日本人と同様に、就労に制限がないため、フロント業務だけでなく、他の業務に従事することも可能です。
資格外活動許可(包括許可)を受けた外国人
留学ビザや家族滞在(就労ビザで働く外国人の家族)ビザを保有している外国人は、原則就労することができませんが、資格外活動許可(包括許可)を取得することにより、週28時間働くことが可能であるため、フロント業務だけでなく、他の業務に従事することも可能です。ちなみに、留学生は、学校の長期休暇の際は、1日8時間まで就労可能です。
特定技能1号(宿泊業)
特定技能制度を簡単に説明すると、日本の産業における深刻な人手不足を背景に、特定の技能分野において高い能力を持つ外国人労働を受け入れることを目的として、2019年4月1日から施行されました。人手不足が深刻である12分野(2024年3月29日の閣議決定で今後は4分野が追加され16分野となる)にて、外国人労働者を受入れることができます。特定技能ビザを取得できる外国人は、日本語能力試験や技能試験に合格する必要があります。また、受入れる企業側も、一定の要件を満たす必要があります。
外国人の能力に応じて、特定技能1号ビザ又は特定技能2号ビザのいずれかが付与されます。
ホテルや旅館でのフロント業務(チェックイン/アウト、周辺の観光地情報の案内、ホテル発着ツアーの手配 等)に従事することが可能です。
特定技能2号(宿泊業)
特定技能制度を簡単に説明すると、日本の産業における深刻な人手不足を背景に、特定の技能分野において高い能力を持つ外国人労働を受け入れることを目的として、2019年4月1日から施行されました。人手不足が深刻である12分野(2024年3月29日の閣議決定で今後は4分野が追加され16分野となる)にて、外国人労働者を受入れることができます。特定技能ビザを取得できる外国人は、日本語能力試験や技能試験に合格する必要があります。また、受入れる企業側も、一定の要件を満たす必要があります。
外国人の能力に応じて、特定技能1号ビザ又は特定技能2号ビザのいずれかが付与されます。
複数の従業員を指導しながら、宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供に従事する業務に従事することが可能です。
2.ホテル内のレストラン内での業務
ホテル内のレストランは、ホテル内ではありますが、飲食店(外食業)と同様の扱いとなります。
そのため、以下記事を確認ください。
飲食店(外食業)の外国人雇用 – 長野・松本の飲食店事業者必見 「外国人が保有するビザ」と「従事できる業務との関係」
3.宣伝広報、マーケティング、企画立案、法人営業等
技術・人文知識・国際業務
大学等で学んだ知識や実務経験を活かした業務に従事できるビザです。留学生として日本の大学を卒業した外国人がホワイトカラー業務を行う場合は、このビザを取得する方が多いです。宣伝広報、マーケティング、企画立案、法人営業等は、宿泊業におけるホワイトカラー人材が従事する業務と言えましょう。そのため、技術・人文知識・国際業務ビザの保有者が従事することが可能です。
身分系ビザ(日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、永住)
身分系ビザとは、日本での活動や就業に制限のないビザです。日本人の配偶者や永住者の配偶者、定住者、永住者等が身分系ビザの保有者です。日本人と同様に、就労に制限がないため、どのような業務でも従事することも可能です。
資格外活動許可(包括許可)を受けた外国人
留学ビザや家族滞在(就労ビザで働く外国人の家族)ビザを保有している外国人は、原則就労することができませんが、資格外活動許可(包括許可)を取得することにより、週28時間働くことが可能であるため、原則、上記のような業務に従事することも可能です。ただ、宣伝広報、マーケティング、企画立案、法人営業等に短い労働時間しか働くことができない人を雇う企業は少ないでしょう。ちなみに、留学生は、学校の長期休暇の際は、1日8時間まで就労可能です。
4.ホテル内の客室清掃等
特定技能1号(宿泊業)
特定技能制度を簡単に説明すると、日本の産業における深刻な人手不足を背景に、特定の技能分野において高い能力を持つ外国人労働を受け入れることを目的として、2019年4月1日から施行されました。人手不足が深刻である12分野(2024年3月29日の閣議決定で今後は4分野が追加され16分野となる)にて、外国人労働者を受入れることができます。特定技能ビザを取得できる外国人は、日本語能力試験や技能試験に合格する必要があります。また、受入れる企業側も、一定の要件を満たす必要があります。
外国人の能力に応じて、特定技能1号ビザ又は特定技能2号ビザのいずれかが付与されます。
ホテルや旅館でのフロント業務(チェックイン/アウト、周辺の観光地情報の案内、ホテル発着ツアーの手配、客室清掃 等)に従事することが可能です。ただ、客室清掃のみに従事することは不可です。
特定技能2号(宿泊業)
特定技能制度を簡単に説明すると、日本の産業における深刻な人手不足を背景に、特定の技能分野において高い能力を持つ外国人労働を受け入れることを目的として、2019年4月1日から施行されました。人手不足が深刻である12分野(2024年3月29日の閣議決定で今後は4分野が追加され16分野となる)にて、外国人労働者を受入れることができます。特定技能ビザを取得できる外国人は、日本語能力試験や技能試験に合格する必要があります。また、受入れる企業側も、一定の要件を満たす必要があります。
外国人の能力に応じて、特定技能1号ビザ又は特定技能2号ビザのいずれかが付与されます。
複数の従業員を指導しながら、宿泊施設におけるフロント(チェックイン/アウト、周辺の観光地情報の案内、ホテル発着ツアーの手配、客室清掃 等)、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供に従事する業務に従事することが可能です。客室清掃のみに従事することは不可です。