飲食店経営者又は飲食企業の人事担当者様で以下のような疑問がある場合は、この記事を見れば解決します。
✅飲食業は単純労働とみなされるので外国人を雇えませんか❓
✅飲食業で外国人を雇いたいが、どのような在留資格を申請すればよいかわからない。
✅応募してきた外国人が在留資格を申請できるかわからない。
✅飲食業でどのような業務であれば、外国人を雇うことができるかわからない。
*以下、「在留資格」の呼称について、一般的な俗称である「ビザ」と記載。
【1】技術・人文知識・国際業務ビザ「外食業(飲食店)」
「技術・人文知識・国際業務」というビザは、大学や専門学校等で学んだ専門分野の技術・知識と関連性のある業務や、外国人特有の感性を必要とする業務に従事するためのホワイトカラー系のビザです。例えば、人事総務や会計の仕事、マーケティング・営業の仕事などになります。このビザは高度な専門性や技術・知識を持っている外国人が取得することが可能となりますので、外食業において単純作業とみなされるホールでの配膳や調理補助、洗い場作業に従事させることはできません。
このビザは、店舗管理(店長)やスーパーバイザーの仕事で取得することが可能です。しかし、雇用する会社は、飲食企業としてある程度の企業規模が必要です。小規模な飲食店の場合は、これらの事務系業務を専門に担当することは客観的にみて現実的ではなく、この業務を外国人にさせる必要性も感じられません。そのため、ある程度の規模がある、少なくとも複数の店舗を持ち、かつ店舗とは別に事務所を構えていることが必要でしょう。
なお、「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得予定の外国人を、新入社員等の研修の一環として現場で働かせることは可能です。現場研修での業務内容は入管局(出入国在留管理庁)から単純労働とみなされる業務が少なくありませんので、その現場での実務研修は申請時に必ず入管局に報告し、許可をもらってから現場に行かせるようにしなければなりません。
もし、入国管理局に報告をすることなく、現場に行かせてしまった場合は虚偽申請をしたとして会社側と外国人社員側双方が処罰される場合もあるのでご注意ください。
技術・人文知識・国際業務とは
【2】留学ビザ又は家族滞在ビザ滞在者による資格外活動
留学ビザで滞在する外国人、留学ビザもしくは就労ビザで滞在する外国人の配偶者は、資格外活動許可を得れば、アルバイト契約により、週28時間以内の労働が可能です。単純作業も可能です。
留学生が長期休業期間中(夏季・冬季休暇等)は、1日当たり8時間以内まで可能です。ただ、日本人と同じく労働基準法も適用されますので、週40時間が上限になります。
【3】技能ビザ「外食(飲食)」
外国人を調理師として雇用する場合は「技能」の在留資格(ビザ)に当たります。この技能ビザを取得するための要件は、10年以上の調理師としての実務経験がなければなりません。技能ビザは、熟練した技能が必要となる専門性の高いビザですので、調理補助、掃除、洗い場等の業務はできません。
また、外国料理の調理師のビザなので、居酒屋や日本料理店等の日本料理では、10年経験があっても技能ビザは取得できません。
技能ビザとは
【4】身分系ビザ
永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者ビザです。身分系ビザは就労活動に制限がないため雇用する側にとっては一番雇用しやすい外国人です。
【5】特定活動ビザ(日本の食文化海外普及人材育成事業)
日本の食文化の海外普及を目的に、調理又は製菓の専門学校等を卒業した外国人留学生が、引き続き、日本国内の飲食店等で働きながら、技術を学べる制度(最長5年間) 。調理師又は製菓衛生師としての就労を希望する方で、農林水産省が実施する「日本の食文化海外普及人材育成事業」の対象となる場合は、在留資格「特定活動」による就労が認められます。
日本の食文化海外普及人材育成事業のビザ(特定活動) 詳細
【6】特定技能46号ビザ
2020年2月改定の日本の大卒で高度な日本語能力を有する外国人が取得可能なビザです。飲食店に採用された場合は、店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務を行うことが可能なビザです。外国人だけでなく、日本人に対する接客を行うことも可能ですが、厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません。
特定活動46号 詳細
【7】特定技能ビザ
特定技能ビザとは、日本の産業における深刻な人手不足を背景に、特定の技能分野において高い能力を持つ外国人労働を受け入れることを目的として、2019年4月1日から施行されました。人手不足が深刻である12分野(2024年3月29日の閣議決定で今後は4分野が追加され16分野となる)にて、外国人労働者を受入れることができます。この16分野の中に、外食業(飲食店)も含まれます。特定技能ビザを取得できる外国人は、日本語能力試験や技能試験に合格する必要があります。また、受入れる企業側も、一定の要件を満たす必要があります。
国際行政書士金森勇征事務所