リサイクル業界は、資源の乏しい日本にとって必要不可欠な産業です。この業界では、日本国内で買い取った資源を海外へ輸出するルートも存在するため、今後も外国人労働者を雇用するリサイクル事業者が増え続けると考えられます。しかし、外国人を雇用する場合、ビザ(在留資格)の問題が生じます。具体的には、その労働者の学歴や職歴がビザ取得の要件を満たしているか、また取得できたとしても、そのビザで従事可能な業務の範囲はどこまでか、といった疑問が出てくるでしょう。本ページでは、リサイクル業における外国人雇用について、ビザの観点から詳しく解説します。
1.リサイクル業で外国人を雇い且つ任せることができる業務について
一部の業界(人材不足が深刻とされる業界)を除き、外国人を雇用するためには頭脳労働従事者としての採用が必要です。そのため、リサイクル業界においては、回収・運搬業務、分別・処理業務、再生・製造業務などは単純労働や肉体労働とみなされるため、これらの業務に外国人を従事させることはできません。
一方、営業に関連する業務であれば外国人の雇用が可能です。例えば、以下のようなケースが該当します。
1.不用品や中古品の仕入れ、再生品の販売を行い、主要取引先が個人事業主または法人である場合。
2.メイン顧客が外国人であり、翻訳や通訳業務を担当する場合。
3.販売先が海外であり、海外の取引先との交渉・取引を行う場合。
2.外国人の雇用が可能な職種とビザ申請要件
上述した通り、以下の職種であれば雇用が可能です。それぞれの職種におけるビザ申請要件を説明します。
1.不用品や中古品の仕入れ、再生品の販売を行い、主要取引先が個人事業主または法人である場合。
2.メイン顧客が外国人であり、翻訳や通訳業務を担当する場合。
3.販売先が海外であり、海外の取引先との交渉・取引を行う場合。
ビザ申請者と申請者を受け入れる企業は、それぞれ申請要件を満たす必要があります。受入れ企業に関しては、上記1~3のいずれの場合であっても共通の要件が求められます。それには、事業が安定しているかどうか、企業として申請者が継続的に従事できる業務を提供できるか、企業が法的義務を適切に果たしているか、といった点が含まれます。
労働者であるビザ申請者は学歴要件又は職歴要件のいずれかを満たす必要があります。
1.不用品や中古品の仕入れ、再生品の販売を行い、主要取引先が個人事業主または法人である場合。
➡学歴要件:大学卒業、短期大学卒業、または日本国内の専門学校卒業の方。大学・短大・専門学校で学んだ内容が営業業務と関連している必要があります。
・文系卒の場合、おおむね関連性が認められます。
・専門学校卒の場合、より密接な関連性が求められます。
・理系卒であっても、業務との関連性が認められる場合があります。
➡職歴要件:営業経験が10年以上ある方。母国または日本国内で10年以上の営業経験があれば、学歴を問わずこの業務に従事することが可能です。
2.メイン顧客が外国人であり、翻訳や通訳業務を担当する場合。
➡学歴要件:大学卒業または短期大学卒業の方。職歴は問われず、学生時代の学習内容も問われません。母国語を活かした翻訳・通訳業務が主な業務であれば、従事可能です
➡職歴要件:翻訳・通訳業務の経験が3年以上ある方。学歴は問わず、翻訳・通訳の実務経験が3年以上あれば、この業務に従事することが可能です。
3.販売先が海外であり、海外の取引先との交渉・取引を行う場合。
➡学歴要件:大学卒業または短期大学卒業の方。職歴は問われず、学生時代の学習内容も問われません。母国語を活かした翻訳・通訳業務が主な業務であれば、従事可能です
➡職歴要件:翻訳・通訳業務の経験が3年以上ある方。学歴は問わず、翻訳・通訳の実務経験が3年以上あれば、この業務に従事することが可能です。
3.出入国管理局への申請方法(申請書類)
ビザ申請者は、「2.」で説明した学歴要件または職歴要件を満たしていることを証明する書類を提出する必要があります。学歴要件を満たしている場合は、最終学歴を証明する書類(例えば卒業証書や卒業証明書)を提出する必要があります。職歴要件を満たしている場合は、在職証明書や離職証明書など、過去の勤務先でどのような業務に、どの期間従事していたかを証明する書類が必要です。
これらの書類を海外から取り寄せる際は、国によって証明書類の信頼性が異なるため、注意が必要です。例えば、中国から取り寄せる場合は、それぞれの書類に対し公証手続きが必要となります。このように、ビザ申請では提出資料によって申請者が申請要件を満たしていることを証明する必要があり、加えて各書類が偽造されていない、信頼性のある資料であることを立証する必要があります。詳しくは、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。