➤飲食店(外食業)で外国人を雇用する際の注意点 – 長野、松本等での外国人ビザ申請サポート

➤飲食店(外食業)

外国人が外食業で勤務する場合、従事する業務により、申請すべきビザ(在留資格)が異なります。申請したビザ又はすでに保有しているビザで認められた範囲外の業務を行うことは、不法就労にあたります。また、このような場合、雇用した企業側も、不法就労助長罪として処罰される可能性があります(3年以下の懲役・300 万円以下の罰金)。知らなかったではすまされません。
そのため、飲食店運営会社様又は飲食店オーナー様は、是非この記事を読み、「出入国管理法及び難民認定法」の観点から、合法的に外国人を雇用する方法や業務に従事させる方法を理解しましょう。以下、雇用する目的や従事させる業務ごとに、適合しているビザ(在留資格)を説明いたします。

飲食店のホール(注文、顧客対応、ドリンクや料理の提供、レジ等)、調理作業(盛り付け、簡単な調理、皿洗い、清掃等)は、出入国在留管理庁(ビザを申請する行政機関)からは、単純作業とみなされます。単純作業を行わせることを目的として外国人を雇用することは、「日本人の就労機会が減る」、「景気によって失業問題が生じやすい」、「新たな社会保障費用の負担がある」等々の問題が発生するリスクがあります。そのため、飲食店の現場で働くことができるビザ(在留資格)は限られています。以下のビザであれば、飲食店の現場で働くことが可能です。

特定技能1号ビザと2号ビザ

特定技能制度を簡単に説明すると、日本の産業における深刻な人手不足を背景に、特定の技能分野において高い能力を持つ外国人労働を受け入れることを目的として、2019年4月1日から施行されました。人手不足が深刻である12分野(2024年3月29日の閣議決定で今後は4分野が追加され16分野となる)にて、外国人労働者を受入れることができます。特定技能ビザを取得できる外国人は、日本語能力試験や技能試験に合格する必要があります。また、受入れる企業側も、一定の要件を満たす必要があります。
外国人の能力に応じて、特定技能1号ビザ又は特定技能2号ビザのいずれかが付与されます。
特定技能1号ビザを保有する外国人は、単純労働者を行う外国人と言えるでしょう。ただ、特定技能2号ビザの保有者に至っては、飲食店において複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督しながら作業に従事し、店舗管理を補助する能力も有すると認められる外国人であるため、副店長、ひいては小規模の飲食店運営会社における店舗の店長を担当することも可能でしょう。

👉特定技能専門サイト

身分系ビザ(日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、永住)

身分系ビザとは、日本での活動や就業に制限のないビザです。日本人の配偶者や永住者の配偶者、定住者、永住者等が身分系ビザの保有者です。日本人と同様に、就労に制限がないため、飲食店現場のどのポジションであっても、担当することが可能です。

特定活動ビザ(日本の食文化海外普及人材育成事業)

日本の食文化の海外普及を目的に、調理又は製菓の専門学校等を卒業した外国人留学生が、引き続き、日本国内の飲食店等で働きながら、技術を学べる制度(最長5年間) 。調理師又は製菓衛生師としての就労を希望する方で、農林水産省が実施する「日本の食文化海外普及人材育成事業」の対象となる場合は、在留資格「特定活動」による就労が認められます。

👉日本の食文化海外普及人材育成事業について

資格外活動許可(包括許可)を受けた外国人

留学ビザや家族滞在(就労ビザで働く外国人の家族)ビザを保有している外国人は、原則就労することができませんが、資格外活動許可(包括許可)を取得することにより、週28時間働くことが可能であるため、飲食店現場においても働くことが可能です。ちなみに、留学生は、学校の長期休暇の際は、1日8時間まで就労可能です。

特定活動46号ビザ

2020年2月改定の日本の大卒で高度な日本語能力を有する外国人が取得可能なビザです。外国人がこのビザを取得する上での主な要件は、「日本の4年制大学を卒業or日本の大学院を修了していること」と「日本語能力N1相当以上or日本語専攻」です。
飲食店に採用された場合は、高い日本語力により日本語が得意ではない外国人労働者の指導係、店舗管理業務、通訳を兼ねた接客業務等を行うことが可能です。外国人だけでなく、日本人に対する接客を行うことも可能ですが、厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません。

技能ビザ

外国人を調理師として雇用する場合は「技能」の在留資格(ビザ)に当たります。この技能ビザを取得するための要件は、10年以上の調理師としての実務経験がなければなりません。技能ビザは、熟練した技能が必要となる専門性の高いビザですので、調理補助、掃除、洗い場等のみの業務はできません。
また、外国料理の調理師のビザなので、居酒屋や日本料理店等の日本料理では、10年経験があっても技能ビザは取得できません。

技術・人文知識・国際業務ビザ(例外)

飲食店の現場で母国語等得意な言語を使用し接客をすることが従事する業務のメインである場合は、このビザを保有する外国人を雇用することが可能です。例えば、主な顧客層が中国人の飲食店で、中国人スタッフが接客するような場合です。ただ、3年以上の実務経験又は大学を卒業をしている中国人に限定されます。同じく、主な顧客層がベトナム人の飲食店で、ベトナム人スタッフが接客に従事する場合にも、このビザを保有しているベトナム人を雇用することが可能です。ただ、3年以上の実務経験又は大学を卒業をしているベトナム人に限定されます。

飲食店の店長は、出入国在留管理庁(在留資格の申請先である行政機関)より、「飲食店の現場労働従事者の延長線上と解釈される場合(1)」と「飲食店の管理業務に従事すると認められる場合(2)」とがあります。前者(1)の場合は、前節「外国人に飲食店の現場での作業をメインに行わせたい場合」をご参照ください。後者(2)をさらに具現化すると、スタッフの労務管理や安全管理、スタッフの指導や監督という定義です。以下をご参照ください。

技術・人文知識・国際業務ビザ

技術・人文知識・国際業務の就労ビザを取得する場合は、外国人本人が大学を卒業または専門学校を卒業している必要性があります(実務経験での申請の場合を除く)。また飲食業界で従事しようとする業務に必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して卒業していることが必要です。従事できる業務をわかりやすく言いますと、複数店舗をかかえる本部機能のある飲食店運営会社の本部スタッフといったところでしょう。ただ、管理業務(スタッフの労務管理や安全管理、スタッフの指導や監督等)がメインである飲食店店長やスーパーバイザーも、技術・人文知識・国際業務ビザを保有している外国人を雇用できる余地があります。また、管理業務メインの飲食店店長やスーパーバイザーに従事させることを前提として、雇用予定の外国人にビザ申請をする余地もあります。

特定技能46号ビザ

日本の大学等卒業者であって、高い日本語能力を有する方が対象となります。日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する方が対象です。
※ 日本語能力試験については,旧試験制度の「1級」も対象となります。その他、大学又は大学院において「日本語」を専攻して大学を卒業した方についても対象です。
なお、外国の大学・大学院において日本語を専攻した方については、別途日本の大学等も卒業することが必要です。
このビザは高度な日本語力を使用する業務を行うことが目的ではありますが、通訳を兼ねた店舗管理業務や接客業務を行うことが可能です(日本人に対する接客を行うことも可能です。)。
※ 厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません。

外国人が従事する仕事の内容に適合したビザ(在留資格)を取得すれば、将来的に会社の幹部になることを目的として、雇用し育成することも可能です。なお、研修の一環として、数か月間、飲食店の現場にて単純作業を行わせたい場合は、技術・人文知識・国際業務ビザが適しています。

👉研修期間のみ飲食店で現場作業を行わせたい場合

技術・人文知識・国際業務ビザ

店舗管理業務であれば、技術・人文知識・国際業務ビザを保有する外国人を雇用することが可能であす。では、飲食店を運営する会社の非現場での勤務、例えば、総務、人事、労務、経理、財務、会計、法務、貿易事務、海外事務、システム、マーケティング、商品開発、法人営業等々については、どうでしょうか?
雇用予定の外国人が大学・専修学校において選考した科目と企業が従事させようとする業務に関連性がある場合、若しくはその外国人が従事する予定の業務について10年以上の実務経験があれば、技術・人文知識・国際業務ビザの取得が可能です。

技術・人文知識・国際業務ビザ

企業においては、採用当初等に一定の実務研修期間が設けられていることがあるところ、当該実務研修期間に行う活動のみを捉えれば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当しない活動(例えば、飲食店での接客や小売店の店頭における販売業務、工場のライン業務等)であっても、それが日本人の大卒社員等に対しても同様に行われる実務研修の一環であって、在留期間中の活動を全体として捉えて、在留期間の大半を占めるようなものではないようなときは、その相当性を判断した上で当該活動を「技術・人文知識・国際業務」の在留資格内で認めています。

技術・人文知識・国際業務ビザ

飲食店運営会社が海外進出(出店)をする際に、その国の事情を知り、母国語が活かせるような外国人に海外進出における業務に従事させるような場合は、その外国人が技術・人文知識・国際業務ビザを取得することにより、当該業務に従事することが可能です。